
樋笠尭士
多摩大学経営情報学部専任講師名古屋大学未来社会創造機構客員准教授 刑法学者。自動運転の刑事責任やドイツ倫理指針の研究を行う。自動車技術会HMI 委員会委員や、国土交通省・経済産業省自動運転レベル 4 等先進モビリティサー…
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自動運転倫理ガイドライン研究会は、学際的なメンバーで、自動運転の倫理を検討し、提言を行います
1067名の方のお申し込みをいただきました。
ありがとうございます。
運転手、所有者、製造者、自治体、事業主、行政機関、運行事業者、遠隔監視者、現場措置業務実施者、車両の認証を行う機関、車両の販売・広報に関する基準を策定する機関、交通参加者として、歩行者、地域住民など、常生活に新たな交通技術である「自動運転」が持ち込まれることについて、ほぼ全ての人が関係することになります。それぞれの「倫理」的な価値観のすり合わせが必須です。
実証実験に関わるガイドラインを除き、現在国内に存するのは、技術的視点に特化した安全保安基準等のガイドラインのみでありまして、たとえば、自動運転による事故が発生した場合に、プログラマー、メーカー、ディーラー、乗務員それぞれについて刑事責任をどのように認定するかが定まっていません。さらには、運転者の生命、又は歩行者等の生命を、別の歩行者の生命を侵害することによってのみ回避可能な状況(=ジレンマ状況)等の倫理問題について事前にプログラミングをする際の方向性の基準も存しないことも問題である。ジレンマ状況の場合に、誰が責任を負うのか、又は、責任を負わないとすればその法的構成はどのようなものか、が不明確です。
トロッコ問題などのフレーズでどこかで検討したり、考える機会はあったかと思います。しかし、このようなジレンマ以前に、そもそも、「人命への配慮」について、大前提となる人命には、歩行者、対向車、交通違反者、どこまで含むのか、また、メーカーは、安全をどこまで希求すべきなのか合理的に予見される防止可能な事故が生じないという要求を少し超えればそれでよいのか、自動運転の導入が許される社会的受容性とは何か等、産官学民すべてのステークホルダーが直面する問題の根底には、「倫理」が存在します。
そこで、本研究会は、10名の学際的なメンバー、刑事法学、民事法学、哲学、生命倫理学、法哲学、元検事(弁護士)、機械工学、交通工学、電気工学(メーカー)、電子工学(メーカー、を集め、ディスカッションを重ねて、共通言語・共通理解を見出し、自動運転の社会実装において必要な11の指針の案および注釈を策定しました。本指針は、自動運転車を対象とするものであり、自動運転に携わる者全てが取り組むべき態度の方向性を既存の法律・指針の枠組みを超えて示すものです。
我々人間の世界は、最初の車であれ、電車であれ、航空機であれ、新しいモビリティが社会に導入されるときはメリットデメリット、コストベネフィットなどで測られ、壮烈な批判を受けたり、あるいは批判を押し切って導入したり、様々な軋轢を生んできました。高齢化およびドライバー不足が進み、交通不便地域が増加するなかで、人々の足となりうる自動運転を礼賛するだけにとどまるとか、不安定な技術による新たな事故類型が想定されることを理由に盲目的に導入に反対するとか、様々な立場があろうかと思います。
本研究会は、自動運転と倫理について深く議論した結果を報告することで、より、社会実装についてのディスカッションあるいは地域との合意ないし社会的受容性の醸成などが建設的になるように、方向性を示すものであります。 本会が作成しましたガイドライン案は本HPからダウンロード頂けます。
交わることのなかった学問同志、産業同士、そして消費者および官公庁が、同じ目線で自動運転とどう向き合うかを考えていただけるようになれば、本会としては誠に幸甚でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
樋笠尭士
多摩大学経営情報学部専任講師名古屋大学未来社会創造機構客員准教授 刑法学者。自動運転の刑事責任やドイツ倫理指針の研究を行う。自動車技術会HMI 委員会委員や、国土交通省・経済産業省自動運転レベル 4 等先進モビリティサー…
株式会社ウーブン・コア シニアテクニカルアドバイザー トヨタ自動車工業株式会社入社後、自動車エンジン及び航空機エンジンのコンピュータ制御開発に携わる。2000 年から車の知能化・自動運転の研究に携わり、2020 年トヨタ…
明治大学専門職大学院法務研究科教授 経済産業省・国土交通省委託事業「自動走行の民事上の責任及び社会受容性に関する研究」有識者会議委員・顧問や、経済産業省「自動走行の安全に係るガイドライン及びデータベース利活用検討会」有識…
松田綜合法律事務所・弁護士名古屋大学未来社会創造機構客員准教授 物理出身(応用物理学会会員)。 東京・福岡・横浜・さいたま・ 新潟地検などで検事を務めた。 現在は弁護士として企業犯罪・特殊過失・モビリティサービス関連法務…
岡山県立大学デザイン学部特任教授 専門は西洋古代中世哲学及び美学芸術学、記号論、感性学。中世哲学会常任理事、新プラトン主義協会理事を務める。感性工学的なアプローチでインターフェースの問題を研究。普遍的倫理と個別的倫理の対…
名古屋大学大学院法学研究科総合法政専攻現代法システム論教授 日本法哲学会理事。 編著に『アーキテクチャと法』(2017 年、弘文堂)がある。 AI ガバナンスの研究、人工知能時代の正義と自由の研究に加え、情報処理の促進に…
株式会社本田技術研究所事業開発本部 ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 エグゼクティブチーフエンジニア 本田技術研究所に入社後、車両制御システムの研究開発に携わる。2015 年「電動サーボブレ…
信州大学医学部助教名古屋大学未来社会創造機構招聘教員 信州大学では、日本医療研究開発機構「研究公正高度化モデル開発支援事業」の教材開発を、(一財)公正研究推進協会では、委員として研究倫理における法と指針の重要性を説く。 …
筑波大学大学院システム情報系社会工学域教授 内閣府規制改革推進会議・内閣府PFI推進委員会・国土交通省社会資本整備審議会等の委員を多数歴任する。 科学研究費挑戦的開拓「『クルマ』と『自動化するクルマ』に対する社会的受容の…
交通安全環境研究所 自動車安全研究部長自動運転基準化研究所 所長 内閣府SIP 第2期自動運転推進委員会構成員、国土交通省交通政策審議会臨時委員、経済産業省「自動走行ビジネス検討会」有識者委員、警察庁「自動運転の実現に向…